現在、USB接続の外付けハードディスクを購入したユーザーの半数以上はテレビ録画に使用していると言われます。ですが、コピーワンスは複製データを1回だけ作成できる仕組みになっていおり、トラブルが発生しやすくなっています。
例えば、BSデジタル放送や一般的な地上デジタル放送の番組はすべてコピーワンス仕様になっています。テレビを録画したデータは「日本だけ」はコピーワンスの問題でデータ復旧専門会社でもデータ復旧サービスを提供できません。
「ダビング10」と「コピーワンス」の違い
地上デジタル放送などのテレビのデジタル放送は、ブルーレイやHDDレコーダーで番組を録画する時に、無制限にコピーができないようにするコピー制御信号が含まれている番組になっています。このコピー制御信号には、主に2つあります。
1つが、「コピーワンス」で、2つ目が「ダビング10」です。
コピーワンスとは
「コピーワンス」とは、地上デジタル放送の著作権保護を目的としたものです。ハードディスクレコーダーなど録画を1回限りに許可するコピー制御方式のことをいいます。
この「コピーワンス」方式の最大の特徴は、ハードディスクに録画した番組を、DVDなどにコピーすると、番組データがハードディスク(HDD)から消去されることです。別のメディアへの移動した場合、元のデータが残らないものをコピー(複製)と区別してムーブ(移動)といいます。
ダビング10とは
「ダビング10」では、これまでの「コピーワンス」から大幅に条件を緩和しコピーを1回だけではなく10回まで可能になったコピー制御技術です。
地上デジタル放送をハードディスクレコーダーなどに録画したデータの他にコピー9回と別のメディアへの移動を1回を許可する録画制御方式です。「ダビング10」は、ハードディスク内蔵のブルーレイやHDDレコーダーなどの録画機器で利用できます。
そもそも「ダビング10」が可能になるには、テレビ放送局がブルーレイやHDDレコーダーの制御信号入りの番組を放送していなければいけません。また「ダビング10」に対応したブルーレイやHDDレコーダーなどの録画機で録画する場合のみ可能になります。
「コピーワンス」では、BSや地上デジタル放送を問わず、「録画を1回しか許可しない」方式です。例えば、BSや地上デジタル放送では映像の中に、この「コピーワンス信号」を入れて放送しています。
コピーが1回しか出来ないため、昔のようにビデオテープやDVDにコピーして複数のコピーを保存したり、コピーデータを気軽に友達に渡すような事が出来ません。
勿論、録画する際にもデジタル放送対応のレコーダーが必要になります。 デジタル放送対応の技術を「CPRM」と呼びます。
CPRMとは
この「CPRM」とは、「Content Protection for Recordable Media」の略称です。DVDレコーダーなどの録画機器の他にも、記録メディアのDVD-RAMおよびDVD-RWなども、この著作権保護技術「CPRM」に対応していなければいけません。
通常、DVD-RAMおよびDVD-RWが「CPRM」に対応しているかどうか確認するには、開封前の商品パッケージに記載されています。
「CPRM」は、いわばコピーガード技術です。既にBSや地上デジタル放送の放送データ信号自体が暗号化されており、CPRM対応の機械が暗号を解読するというシステムです。移動だけはできますが、CPRM対応のレコーダーに録画したものは、ほかのパソコンなどにコピーすることはできません。
唯一できるのは、ハードディスクレコーダーのHDDからDVDの記録メディアに移動することです。これを一般的にムーブ(移動)と呼びます。 移動するとハードディスクにあった元データは削除される仕組みです。
コピーワンス番組とDVD-R
「コピーワンス」のデジタル放送番組は「DVD-R」にコピーすることはできません。
「えっ、DVDにコピーしてるけど・・・」と思われた方がいるかもしれませんが、コピー可能なのは、CPRM対応のDVD-RAMかDVD-RW(VRモード)だけになっています。つまり、DVD-RAMかDVD-RWを使用した場合のみ、DVDにコピー可能です。
2004年4月以降、地上デジタル放送の番組はすべて「コピーワンス信号」を入れて放送しています。つまり、同じ映像データを2つ所有することが不可能になっている訳です。コピーを防止して、テレビ局側の著作権を保護する目的として導入されています。
そのためコピーワンス番組をダビングした場合は、CPRM対応の録画機器とDVD-RAMまたはDVD-RW(VRモード)といった記録メディアを使用する必要があります。
コピーワンスは必要か?
従来のアナログ放送ではビデオ録画しても5、6回もコピーを続けると、映像データが劣化するため、コピーデータはほとんど流通することはありませんでした。万が一、流通しても見るに堪えない劣化版になっていたからです。
ところが、デジタル放送の場合、そもそも何回コピーしても映像データが劣化することがありません。そのような理由から、デジタル放送の番組などの著作権者の許可なく、違法にコピーデータが流通してしまうのを防ぐためにコピーワンスの信号によってダビングが制限されています。
しかし、普通に録画をしながら楽しんでいる利用者にとっては、「コピーワンス」は不便でしょうがないと思っている人も多いことでしょう。
著作権保護の問題と利用者の利便性とのせめぎ合いが続いている状態といって良いでしょう。今後は、「ダビング10」などの複数回のコピーを認める方向に進んでいくことを期待しましょう。
コピーワンスの注意事項
コピーワンスによる「1回のコピー」の定義に対し、利用者側としては注意が必要です。というのも、ブルーレイやハードディスクレコーダーで、デジタル放送を録画したら、それが1回のコピーということになります。
つまり1度HDDに録画したら、それ以降コピーがは不可能ということになります。「1度ハードディスクに録画してから、DVD-RWなどにコピーしているよ」と人もいるかもしれませんが、それはコピーではムーブと呼ばれる移動なので、コピー(複製)とは違うので注意が必要になります。
ムーブと呼ばれる移動では、原本であるハードディスクのデータは保持されません。自動的に消去されます。
また、さらに問題なのは、USB接続の外付けHDDをブルーレイやハードディスクレコーダーに増設して利用しているユーザーも多くいますが、そのテレビ録画したUSB接続の外付けハードディスクに子供写真や成長記録、結婚式などの貴重なデータを保存することは危険です。
というのも、増設した外付けHDDは「コピーワンス」対応にフォーマットされているので、通常パソコンで使用している外付けHDDのように、コピーや編集、データ復旧などが自由ではないからです。
コピーワンスの問題点
コピーワンスは著作権保護のために作られたものですが、ユーザにとって大変不便なものとなっています。
例えば、HDD(ハードディスク)からDVDにコピーができないといった不便さがあります。コピーが出来ないので、保存してあった記録メディアに何らかの故障や不具合が発生したらデータは消失してしまいます。
また録画した映像をパソコンなどで編集できないなどのデメリットがあります。そのためコピーワンス王式が見直しされ、「ダビング10」も開始されました。
テレビやレコーダーにはB-CASカードが必要
コピーワンスやダビング10の為に「B-CASカード」が必要です。
現在のデジタル放送は、CMやニュースも含めてすべてのテレビ番組で「コピーワンス」や「ダビング10」などのコピー制御がかかっています。常時、放送データは暗号化されて送信されている状態です。
その暗号を解くためには「B-CASカード」というものが必要になります。つまりそもそも「B-CASカード」がないとデジタル放送をテレビで見られません。
勿論、録画もできません。
日本国内ではデジタル放送を録画する時だけでなく、観るだけでもコピー制御に対応するためテレビ及びレコーダーに「B-CASカード」を挿入している必要があります。
この「B-CASカード」はテレビでも、レコーダーの購入の際にも、必ず1枚付属しています。そのカードを常にテレビの本体に差し込んだ状態のままにすることで、デジタル放送を受信し観ることが可能になります。録画はするつもりはなく、テレビをたまに観るくらいといった利用の仕方でもだけでも「B-CASカード」は必要になります。
「コピーワンス」ではコピーを制御するための信号を暗号化してテレビ放送などで送信しています。暗号化された信号を「B-CASカード」で復号することによって、放送された映像を観ることができるという複雑なシステムになっています。
現在、USB接続の外付けハードディスクを購入した利用者の半数以上がテレビ録画用に購入していると言われます。ですがテレビを録画したデータは「日本だけ」はコピーワンスの問題でデータ復旧サービス自体が対応不可となっています。
逆に言えば、USB接続の外付けハードディスクにテレビを録画したデータ以外にも一般家庭でビデオ録画したデータが混在していた場合でも、復旧可能という業者は危険と思って良いでしょう。